- 著者
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井上 和人
- 出版者
- 関東学院大学[文学部]人文学会
- 雑誌
- 関東学院大学文学部紀要 (ISSN:02861216)
- 巻号頁・発行日
- vol.132, pp.230-248, 2015-07
本稿では、西沢一風作『風流今平家』(元禄一六年三月刊)から七八之巻一「今俊寛涙の足ずり」を取りあげる。『風流今平家』が『平家物語』の「やつし」--『平家物語』を当世風に卑近に崩した作--であることは周知。ただし、『平家物語』の「やつし」は全篇の構想であり、一章一部分の趣向には『平家物語』以外の素材も活かされているはずと推測。果たして、今回の検討の結果、「今俊寛涙の足ずり」のうつぼ舟の趣向は、大職冠物によることが明らかになった。