著者
本庄 総子
出版者
国際日本文化研究センター
雑誌
日本研究 (ISSN:09150900)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.7-20, 2015-03

税帳制度の始まりについては諸説あるが、大宝2年の大租数文作成命令は、従来考えられているような未熟な段階のものではなく、税帳制度の開始として積極的に評価されるべきものである。また、税帳の進上文言の分析を通してみれば、最初期の税帳には雑用記載の機能が備わっていなかったか、少なくとも主要な機能とはされていなかったことが確認できる。ただしそれは貯積を基本的属性とする正税の帳簿であるためであり、制度的な未熟と評価されるべきものではない。 天平6年の官稲混合は、大宝2年に成立した税帳に大きな変化をもたらした。税帳使の身分は国史生から国司四等官へと変化し、使者の責任が増大したことが窺える。また、税帳の名称も従来の収納帳から目録帳へと変化しており、公文としての重要度も増したものと考えられる。書式にも変化が見られる国があり、従来の倉札的な時系列書式から、雑用を別立てで記載する書式へと変化した。 官稲混合は地方財政、具体的には税帳雑用記載への監督強化と評価すべき面が強い。官稲混合の結果として、雑用記載には厳密なチェックが行われるようになり、見込みではなく実績での報告が求められるようになった。その結果、税帳の進上期限も翌年2月末に固定されていったものと考えられる。

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CiNii 論文 -  税帳と税帳使 : 大租数文と官稲混合を中心に https://t.co/m2P8U7lZ2t #CiNii

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