- 著者
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安田 雪
- 出版者
- 関西大学社会学部
- 雑誌
- 関西大学社会学部紀要 (ISSN:02876817)
- 巻号頁・発行日
- vol.45, no.1, pp.33-46, 2013-12
This paper examines how dissemination by demagogues occurred and how hubs contributed to the rapid and widespread information diffusion in social media, namely Twitter. Examining the 40,711 demagoguerelatedtweets we crawled using TTC, just after the Great East Japan Earthquake, the hubs' role in quick information diffusion was confirmed. Furthermore, we found that powerful information diffusion was causedby those we labeled "ignorant influencers" who have a large number of followers but display little knowledge. At a micro level, ignorant influencers do little harm; yet, at a macro level, when they are aggregated, they can cause serious information distortion in social media.本研究では、東日本大震災発生直後に収集した、「コスモ石油二次災害防止情報関連ツイートデータ」を用い、震災時におけるソーシャルメディア上の情報拡散行動及び情報拡散の状況の分析を行った。その結果、ソーシャルメディア上で個々のユーザーがもつ情報伝播力及び他者に対する影響力は、本人が保持する知識量とは完全に独立であり、ミクロレベルにおけるその差が、マクロレベルにおいてソーシャルメディア上で全体として拡散する情報の正確さや精度に著しい影響を及ぼすことを確認した。ソーシャルメディアを利用する個々のユーザーの影響力と、そのユーザーのもつ情報の正確さや知識量は独立であるにもかかわらず、一部の人々が著しい情報伝播力を持つことが、不正確な情報が膨大に拡散する重要な要因となっている。震災などの緊急時においては、可能なかぎり豊富で正確な知識をもつ人あるいは専門的な判断力を持つ人の直接的、間接的な情報伝播力をいかにあげるかが、ソーシャルメディアの発信する情報の信頼性を担保するために重要であることを指摘できる。結論として、ソーシャルメディア上の情報の拡散及び収束の困難性が、ソーシャルメディアのインフラともいえる人間関係そのもの認識及び統制の困難さに起因することを明らかにする。本研究の実施にあたっては、関西大学震災復興研究費の助成をいただいた。