- 著者
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岩佐 壮四郎
イワサ ソウシロウ
Soshirou Iwasa
- 出版者
- 関東学院大学[文学部]人文学会
- 雑誌
- 関東学院大学文学部紀要 (ISSN:21898987)
- 巻号頁・発行日
- vol.133, pp.191-214, 2015-12
前号掲載の「岡鬼太郎の喜劇」、前々号掲載の「岡本綺堂の喜劇」に引き続き、本稿では、新歌舞伎(近代歌舞伎)の作家のうち、池田大伍の喜劇作品を取り上げる。大伍は、現在でもしばしば上演される『西郷と豚姫』『男達ばやり』などの歌舞伎スタイルの喜劇を残しているが、本稿ではこれらのほかに、老荘的世界観のもとに世俗的世界の価値観を相対化するという視座を提示した『茂林寺の狸』『南方女兒國』など多年にわたる中国戯曲研究の蘊蓄を刻印した作品についても視界に収めながら、近代歌舞伎の展開のなかで彼の果たした役割について考察する。また、ヴィクトリアン・サルドゥなど、フランス通俗劇の影響のもとに二十世紀初頭の日本社会へ違和感を表明した現代喜劇『親友』や、晩年の彼が取り組んだ「元曲」研究の意義についても検討、これまで本格的に論及されることのなかった大伍の喜劇が、現在の演劇に問いかけているものに光をあてる。