著者
門田 誠一
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.43-54, 2016-03-01

魏志倭人伝記の記述のなかでも、もっとも史料性が高いとされるのが魏の皇帝から卑弥呼に与えられた詔書の部分であり、そこに記された下賜品のうち「金八両」に関して、漢魏における金の使用のなかで把握するとともに、具体的な斤量を推定した。あわせて、文献・史料と出土遺物の双方から金製品を多数かつ多量に用いた匈奴と比して、考古資料からも金の使用が顕著でない倭に対しては、魏から少量の金しか与えられておらず、金の下賜に関する倭と匈奴との相違を示した。これらによって、漢代から三国時代にかけての金使用の衰退とあわせて、卑弥呼に対する黄金の下賜は漢代以降の中国における賜金を主体とした金使用の変化に対応しており、さらには金を重用しないという倭の具体的な習俗を認知したうえで行われた魏の現実に即した賜物であったと結論した。魏志倭人伝卑弥呼金八両魏賜金

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門田 誠一 -  卑弥呼に下賜された金八両の意味 : 漢魏代の黄金使用との相関的検討 https://t.co/san1PwfAdf #CiNii

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