- 著者
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澤田 稔
- 出版者
- 富山大学人文学部
- 雑誌
- 富山大学人文学部紀要 (ISSN:03865975)
- 巻号頁・発行日
- no.64, pp.81-106, 2016
本訳注は『富山大学人文学部紀要』第63号(2015年8月)掲載の「『タズキラ・イ・ホージャガーン』日本語訳注(3)」の続編であり,日本語訳する範囲は底本(D126写本)のp.78/fol.39bの11行目からp.108/fol.54bの6行目までである。本号の内容の要旨は以下のとおりである。前号の日本語訳注(3)で叙述されているように,カシュガル・ホージャ家イスハーク派のユースフ・ホージャムはカルマク(ジューンガル)の本拠地イラ(イリ)からカシュガルに逃れ帰ったが,本号では,まず,カシュガルのユースフ・ホージャムに対するカシュガル,ウチュ,アクス等に拠るベグ(豪族)たちの行動,とりわけ,カルマクに内通するベグたちの陰謀について語られる。この陰謀の背景にあるカルマクは,王位をめぐるダワチとアムルサナーの抗争により弱体化していたが,ユースフ・ホージャムの離反の動きを封じるために使者をカシュガルに送る。しかし,その使者をはじめカルマクたちは武装したユースフ・ホージャムの勢力に圧倒され,カシュガルをあきらめてヤルカンドに向かった。