- 著者
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有田 佳代子
- 出版者
- ココ出版
- 雑誌
- 一橋日本語教育研究
- 巻号頁・発行日
- no.2, pp.35-46, 2014-02-14
東京都世田谷区と新潟県新発田市の公立小中学校では、構造改革特区認定による自治体独自の教科「日本語」が全児童生徒への必修科目となっている。一方、日本語教育では、非母語話者だけではなく、母語話者に対する関与と貢献の必要が昨今主張されている。小論では、二者の連携の可能性を探るための基礎研究として、日本語教育が母語話者に貢献しようとする理由としての3つの視点から、教科「日本語」の教科書のなかにその接面があるかどうかを検討した。その結果、(1)両者の共通点は随所で見いだせ、特にメディア・リテラシーに関しては教科「日本語」から学ぶべき点が多いこと、(2)「多言語・多文化共生を目指す教育」に関する内容は、教科「日本語」に補われるべき点として日本語教育の視点から指摘しえること、が明らかとなった。