- 著者
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栗田 昌之
- 出版者
- 法政大学公共政策研究科
- 雑誌
- 公共政策志林 = Public policy and social governance (ISSN:21875790)
- 巻号頁・発行日
- no.4, pp.43-58, 2016-03
本稿では主として1970 年代の防衛政策、特に「基盤的防衛力構想」の策定がその後の防衛政策に与えた影響を考察する。戦後、我が国における防衛政策は憲法上の制約、各政党の方針の違い、政府の基本的態度(日米安全保障条約、非核三原則、文民統制等)、周辺情勢の変化等々、様々な要因に影響され進められてきた。防衛担当者は、政策を策定、実行するにあたり、戦争体験者を中心とする国民の意識やメディアの態度などを常に気にしていた。そのような背景の中「基盤的防衛力構想」が策定されると、①軍事的には、それまで軍事専門家たるいわゆる制服組主導で行われていた防衛力整備政策の流れが変化し、②政治的には、主として国会における防衛政策に関する議論の流れが変化した。このそれぞれの変化を、政治家や防衛担当者の背広組と制服組の動向、および防衛力整備計画の推移を確認しながら明らかにする。