著者
金沢 佳子
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.18, pp.176-190, 2009-03

柳谷慶子『近世の女性相続と介護』吉川弘文館 A5判 328頁 2007年発行 (本体価格)9000円本書は、日本近世における女性と家族の位相を明らかにすることをめざして、著者が1990年から発表してきた論考11篇を二部構成で収録したものである。第一部は、東北諸藩において、女性が家督を相続した数少ない事例を紹介し、史料によっては、その名が系譜から抜け落ちている背景を探り、さらに、大名家の「奥」の機構や「姉家督」慣行から「家」の運営と相続をめぐる女性の役割を検討している。第二部は、今日、自明とされている女性による介護が近世においては家長の役割規範のもとに、当主や跡取りにあたる息子が行っていた例を幕藩の諸史料や武士の日記などから考証した。高齢者や病人の看病・介護における「家」の位置取りを家族のおかれた状況や地域共同体の扶助機能から考察し、公権力の関わりかたにも言及している。現在の社会通念はいつ頃からいかなる変化を経て生じてきたものか、ジェンダーの視座から、近世社会の特質と知られざる姿に光をあてた歴史学的研究である。

言及状況

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"近世""「家」の成立のうえによって立つ幕府や藩は、家長ないし跡取りに対して、「家族員」の看病のための休暇は認めざるをえず、養子に出た者が実父母を介抱するケースも少なくない" →『近世の女性相続と介護』

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