著者
勝田 聡
出版者
千葉大学大学院人文社会科学研究科
雑誌
千葉大学人文社会科学研究 (ISSN:18834744)
巻号頁・発行日
no.26, pp.203-216, 2013-03

本書は、元犯罪者に対する面接調査の結果を、更生した人と更生していない人に分類して比較分析し、犯罪をした人の更生の要因について考察したものである。本書では、1)犯罪をした人の更生とは、再犯をしない状況の持続であり、更生への肯定的な動機付けや自己効力感を持つことが重要である、2)犯罪をした人が犯罪について言い訳や正当化をすることは、一般に、更生の妨げになるとされていたが、更生を促進する側面がある、3)言い訳や正当化には文化的な背景がある、の3点が論じられている。日本の保護観察は、保護観察対象者の改善更生を目的とする社会内処遇であるが、肯定的な動機付けや自己効力感は必ずしも重視されていない。また、これまで、言い訳や正当化の機能や文化的背景についても十分に論じられていない。本稿においては、本書の概要をまとめた上で、本書で指摘されている上記の3つの観点を踏まえ、日本の保護観察のあり方について考察する。

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こんな論文どうですか? 書評論文 シャッド・マルナ著『改善 : 元犯罪者の人生の再生と再構築』(2001年)(勝田 聡),2013 https://t.co/KhJxwcCqZd 本書は、元犯罪者に対する面接調査の結果を、更生した人と更生していない…

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