著者
望月 利男 江原 信之
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.34, pp.p65-91, 1988-09

1987年10月1日に発生した地震は,大都市ロサンゼルスにおける16年ぶりの被害地震であり,合衆国内でも災害対策が進んでいるカリフォルニア州での地震という点で注目に値する。筆者らはロサンゼルス市を中心に,主として行政組織の地震後の対応について現地調査を実施した。また,過去における地震災害や,災害対策制度の変遷を理解することにより,それらの教訓や諸制度が,今回の地震にどのように生かされたかを学んだ。少なくとも今回の地震は,大被害に至らなかったものの防災関係機関にとって,被害特性や規模の正確な把握に基づく対応優先順位のつけ方や,地震対応範囲の早期決定を行ううえで微妙な規模,影響を与えた地震であり,今後の地震対策を考えるうえでいくつかの教訓を生んだ。特に,地震後にロサンゼルス市建設安全部の行った建物の危険度判定に見られる,危険建物に対する迅速な退去命令や安全性の判定は,今後のわが国の緊急対応においても十分教訓に成り得るものであった。また,ロサンゼルス市の抱える今日的問題が,地震という災害によって表面化し,移民を含めた公共情報の伝達方法の改善や,建物の耐震化などの対策は大都市ロサンゼルスにとって急務の課題である。

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こんな論文どうですか? 米国における災害対策制度と1987年ウイッティア地震の調査報告(望月 利男ほか),1988 https://t.co/xzfOwP31qR

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