著者
奥村 三郎
出版者
大阪市立大学文学部
雑誌
人文研究 (ISSN:04913329)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.p185-202, 1986

(1) オスカー・ワイルドの『理想の夫』(An Ideal Husband, 1895)は, それに先立つ『ウインダミア夫人の扇』(Lady Windermere's Fan, 1892)と『くだらぬ女』(A Woman of No Importance, 1893)と同様, 問題劇(problem play)としての社交界劇(society drama)であり, いわゆる「過去」をもつ人物を主要人物とする点で, 同工異曲といえようが, 問題の人物が女ではなく男―外務次官のロバート・チルターン準男爵(Sir Robert Chiltern)―であるのが前二作と異なっている。……

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