著者
大町 達夫
出版者
東京都立大学都市研究センター
雑誌
総合都市研究 (ISSN:03863506)
巻号頁・発行日
no.47, pp.p77-89, 1992-12

本研究は、東京の学校地震防災体制について、その現状を調査し改善の手がかりを見つけようとしたものである。現状分析には、1988年から1990年にかけて実施した3つのアンケート調査を用いた。これらは先ず、被害経験、災害危険度、防災活動度などに違いのある1都10県の298校から得た防災体制に関する回答、次は東京都23区のうち17区役所から得た防災指導に関する回答、最後は東京都23区内の全小中学校のうち686校から得た最近の地震被害に関する回答である。これらの調査によれば、東京の学校防災体制は全国平均よりも高いレベルにある。特に公立小・中学校では区からの指導もあって防災訓練に力点を置き、毎月1回以上実施している学校も少なくない。一方、危険防止対策は全国平均よりも低いレベルで、実際、震度4程度の地震でも大田区や世田谷区では10%以上の学校で被害が発生している。また、避難地に指定されている学校は約40%もあり、避難住民の安全確保を学校に期待している自治体職員は多い。しかし、避難地に指定されている学校と指定されていない学校とで、防災体制の現状に違いは見られない。要するに、東京の学校では、学内の危険防止対策にもっと積極的に取り組む必要がある。

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