著者
今掘 太逸
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
no.7, pp.3-22, 2017-03

徳川家の女性と総本山知恩院今堀太逸〔抄録〕日本人と寺院の歴史を研究するとき、宗派の歴史をふまえて考察する必要がある。慶長八年(一六〇三)、徳川家康は法然廟堂の浄土宗総本山知恩院に大伽藍を造立した。以後、御影堂には徳泰院(家康母於大)と家康・秀忠の将軍束帯像が安置され、所司代以下の武家衆が月参りをすることになる。家康が知恩院を将軍家京都菩提所としたのは、先祖松平親忠の五男超誉存牛が二十五世住職として、天皇家の帰依を受け、勅願所・浄土宗総本寺の地位を確立したことによる。徳川三代将軍は、勅願所である知恩院を将軍家菩提所として崇敬、支援することで、天皇家と将軍家の融和を果たした。その結果、元禄十年(一六九七)一月十八日、東山天皇より法然に「円光大師」の大師号が下賜され、知恩院が京の町の平和と繁栄を象徴する伽藍として隆盛する。本稿では、徳川家の菩提所としての知恩院、また、徳川家ゆかりの女性の浄土宗帰依と知恩院崇敬を考察する。日本人と寺院将軍家京都菩提所葬祭と年忌仏事信心と供養勢至堂万日回向

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