著者
林 博史
出版者
関東学院大学経済学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
no.45, pp.51-67, 2008-07

アジア太平洋戦争において、アメリカは対日戦を進めていく上で、日本人の意識分析をおこない、それを心理戦に活用していった。そこでの分析は、戦闘を有利に進めるためだけでなく、戦後の対日占領政策とも密接に関連するものであった。そのために戦闘のなかで捕獲した捕虜の意識分析をおこなっていたが、サイパン戦の結果、米軍は初めて多数の日本民間人を収容し、民間人の意識分析をおこなうことができた。その調査報告書の全文を翻訳し紹介する。この報告書の内容は、まだ予備的な内容で十分に深められているとは言えないが、民間人が米軍への投降を拒む理由が、けっして愛国的な熱情や天皇への崇拝などではなく、米軍に捕まると殺されるか拷問されることへの恐怖であることがはっきりと示されている。

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