著者
山本 勝造
出版者
関東学院大学経済研究所
雑誌
経済系 : 関東学院大学経済学会研究論集 (ISSN:02870924)
巻号頁・発行日
vol.252, pp.50-59, 2012-07

本稿では、非民主政国家における所得再分配政策と武力革命発生の関連性について検討する。Acemoglu and Robinson(2006)は、統治者が提示した再分配政策が履行されるかどうかというコミットメント問題に注目し、統治者の政策履行に対する信頼性の喪失が武力革命の発生領域を拡大させることを示した。本稿のモデルはAcemoglu and Robinson(2006)のモデルを修正したものであり、政策履行に関する統治者の意思決定を内生化することで、統治者の政策履行のインセンティブと武力革命発生の可能性について分析した。本稿の結論として、統治者の政策履行および一般市民による武力発生の可能性は、社会の経済格差に依存することが示される。具体的には、経済格差の大きな社会で武力革命の発生確率が高まるため、特権階級は政策履行確率を引き上げて武力革命の抑止に努めるのに対し、社会の不平等度が縮まると武力革命の発生確率は下がるため、特権階級が当初提示した所得再分配政策は破棄されやすくなる。

言及状況

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"社会の不平等度の上昇は,一般市民による武力革命の発生確率を上昇させる。これに対し,特権階級は初期の所得再分配政策を忠実に遂行することで,武力革命の発生を回避しようと試みる" 非民主政下における所得再分配政策と武力革命の同時手番ゲーム https://t.co/etsXw4geIm

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