著者
岩佐 壮四郎
出版者
関東学院大学[文学部]人文学会
雑誌
関東学院大学人文学会紀要 = Bulletin of the Society of Humanities Kanto Gakuin University (ISSN:21898987)
巻号頁・発行日
no.132, pp.228-197, 2015

前号掲載の『岡本綺堂の喜劇』に続いて、今号では岡鬼太郎の喜劇を取り上げる。綺堂と共に、「新歌舞伎」を代表する作家の一人である鬼太郎は、現在でも上演されることの多い『眠駱駝物語』や『江島土産 坊主烏賊』などの喜劇を書いている。現在では殆ど論考の対象とされることのないこれらの喜劇をはじめ、落語研究会を組織して新作落語の普及に努めた彼の落語作品--『意地競』など--や小話、所作事などを含め、その作品の喚起する笑い--滑稽--について、私見を提出したい。また、喜劇と銘打ってはいないにもかかわらず、作品の随処に鏤められた喜劇的場面や、彼が蘇生、再演した『鳴神』等の古典的作品の孕む近代性にも言及し、その喜劇の全体像について考察を試みることとする。

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