著者
岸田 広平 武部 匡也 石川 信一 キシダ コウヘイ タケベ マサヤ イシカワ シンイチ Kishida Kohei Takebe Masaya Ishikawa Shin-ichi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.3-16, 2016-12-15

研究動向本論文の目的は,児童青年期の怒りに対する認知行動療法に関する展望を行うことであった。まず,児童青年期の怒りに関連する代表的な診断基準として,秩序破壊的・衝動制御・素行症群や抑うつ障害群について概観したうえで,怒りに関連した診断基準に最も近いものとして,重篤気分調節症が紹介された。次に,怒りに関連する代表的な理論として,学習理論,社会的情報処理モデル,ストレス相互作用説,認知モデルに関する説明を行った。さらに,それらの理論に基づく介入技法として,社会的スキル訓練,問題解決スキル訓練,自己教示訓練,リラクセーション,認知再構成法が紹介された。続いて,児童青年期の怒りに対するメタ分析の結果と代表的な治療プロトコルの概要が紹介された。その後,児童青年期の怒りに関する自己記入式のアセスメントの展望が行われた。最後に,児童青年期の怒りの問題点として,診断基準の洗練化,アセスメントにおける構成概念の混同,怒りに関連する認知的側面に関する基礎研究とそれに基づく介入の必要性が議論された。

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