著者
西尾 悠佑 石川 信一 ニシオ ユウスケ イシカワ シンイチ Nishio Yusuke Ishikawa Shin-ichi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.43-52, 2016-12-15

研究動向本稿の目的は,心理的ウェルビーイング(PsychologicalWell-Being:PWB)および,ウェルビーイング療法(Well-BeingTherapy:WBT)についてレビューすることであった。まず先行研究を概観したところ,PWBはさまざまな精神疾患との関係性が示されており,PWBの向上が精神疾患の改善に有効であることが示唆された。次に,WBTのこれまでのエビデンスを概観したところ,WBTは認知行動療法(CognitiveBehaviorTherapy:CBT)に追加されて実施されることが多いとわかった。しかし,CBT単独の実施より,CBTにWBTを追加した方が,効果が高いかについては,今後検討していく必要性があげられた。最後にWBTでは"肯定的な側面の否定や割り引き"という思考の誤りを扱っている可能性が推察された。そのためWBTの介入により,この思考の誤りが変化しているかについて検討する余地がある。
著者
肥田 乃梨子 石川 信一 ヒダ ノリコ イシカワ シンイチ Hida Noriko Ishikawa Shin-ichi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.3-17, 2018-12-15

研究論文精神疾患に対する否定的な態度は,援助を必要とする者の専門家への受診を妨げる重大な問題であると指摘されている。しかしながら,そのような態度を測定できる青年版の尺度は存在しないというのが本邦の現況である。そこで本研究は,パブリックスティグマの一側面に位置づけられる社会的距離の概念に基づいた,青年版社会的距離の近さ尺度(Social Distance of Adolescents Scale : SDAS)の作成および信頼性と妥当性の検討を目的として行われた。中根他(2010)の成人を対象とする社会的距離尺度を参考に,教育現場での活用を考慮した上で,青年期の生徒が理解できる表現に改めた6項目が作成された。研究1では中学生を対象に調査を行い,信頼性と妥当性を検討したところ,十分な信頼性と妥当性が確認された。続いて研究2において,高校生を対象にSDASを測定し尺度の因子構造を再度探索的に検討したところ,中学生と同様の結果が得られた。SDASは不安症の子どもに対する態度を示すパブリックスティグマを測る尺度として有用であることが示唆され,SDASの汎用可能性について議論された。
著者
岸田 広平 武部 匡也 石川 信一 キシダ コウヘイ タケベ マサヤ イシカワ シンイチ Kishida Kohei Takebe Masaya Ishikawa Shin-ichi
出版者
心理臨床科学編集委員会
雑誌
心理臨床科学 = Doshisha Clinical Psychology : therapy and research (ISSN:21864934)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.3-16, 2016-12-15

研究動向本論文の目的は,児童青年期の怒りに対する認知行動療法に関する展望を行うことであった。まず,児童青年期の怒りに関連する代表的な診断基準として,秩序破壊的・衝動制御・素行症群や抑うつ障害群について概観したうえで,怒りに関連した診断基準に最も近いものとして,重篤気分調節症が紹介された。次に,怒りに関連する代表的な理論として,学習理論,社会的情報処理モデル,ストレス相互作用説,認知モデルに関する説明を行った。さらに,それらの理論に基づく介入技法として,社会的スキル訓練,問題解決スキル訓練,自己教示訓練,リラクセーション,認知再構成法が紹介された。続いて,児童青年期の怒りに対するメタ分析の結果と代表的な治療プロトコルの概要が紹介された。その後,児童青年期の怒りに関する自己記入式のアセスメントの展望が行われた。最後に,児童青年期の怒りの問題点として,診断基準の洗練化,アセスメントにおける構成概念の混同,怒りに関連する認知的側面に関する基礎研究とそれに基づく介入の必要性が議論された。