著者
村岡 潔
出版者
佛教大学総合研究所
雑誌
佛教大学総合研究所共同研究成果報告論文集 = Supplement to the bulletin of the Research Institute of Bukkyo University (ISSN:21896607)
巻号頁・発行日
no.5, pp.75-84, 2017-03

本稿は,貧困と疾病に関して,医療社会学・医療人類学的な観点から論ずる試みである。I)では,貧困の諸概念を紹介し,医療サービスの欠如と平均寿命の低さや,貧困の文化という視点が貧困と疾病の関連を示唆と述べた。II)では,疾病と貧困のインターフェイス(両者を繋ぐ要素)として生活の状況という文化的因子に言及した。この疾病と貧困の改善の因子としては,生活の近代化(西欧化)であり衛生思想(まなざし)の変化であることや,外国人の仕事は人生の一部であり手段とみなす傾向があるのに対して,日本では,その手段が目的となっているという文化的慣習自体に貧困や過労死につながる要因があることを示した。III)では,病気にまつわる脱貧困についての課題を簡単に列挙した。公衆衛生学的なインフラ整備に加え,生活の現代化(再構築)を推進し,生命や衛生状態や食品と食品添加物に対するまなざしの変化が,貧困対策,ひいては健康対策を牽引し,それが脱貧困の第一歩となるものと結論した。貧困疾病貧困の文化カローシスローライフ

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