- 著者
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奥中 康人
オクナカ ヤスト
- 雑誌
- 静岡文化芸術大学研究紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.17, pp.65-86, 2017-03-31
ラッパは、幕末に日本に入ってきた最初の西洋楽器のひとつであるにもかかわらず、これまでほとんど研究されていない。本稿は、長野県内の消防組(消防団)に関する文献からラッパについての諸記録を整理、提示することによって、その普及と変容を明らかにすることを目的としている。軍隊の道具として幕末期に導入されたラッパは、明治後期になって各地の消防組でも用いられるようになった。長野県でも、おおよそ一九〇〇年以降に広く普及し、演習や儀式等で用いられた。第二次世界大戦後には音楽を演奏するラッパ隊として再編成され、教本の刊行やラッパ吹奏大会の開催によって演奏技術が向上し、標準化が促されたことを、文献調査から明らかにした。