著者
柴田 武男
出版者
聖学院大学
雑誌
聖学院大学論叢 (ISSN:09152539)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.43-50, 2013

貧困問題を論じる上で河上肇の『貧乏物語』は不可欠の文献であるが,解決策を「道徳論で贅沢を止めよ」としていることで批判を浴びた。しかし,彼の「貧乏線」は現在の貧困問題に繋がる業績でもあった。現在の貧困問題は,絶対的貧困ではないが奨学金返済問題にみられるように,本来若者を支援する制度が逆に将来不安を生じさせるという意味で平成の『貧乏物語』となっている。

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