- 著者
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野田 秀孝
- 出版者
- 富山大学人間発達科学部
- 雑誌
- 富山大学人間発達科学部紀要 = Memoirs of the Faculty of Human Development University of Toyama (ISSN:1881316X)
- 巻号頁・発行日
- vol.12, no.1, pp.61-65, 2017-10-25
2000(平成12)年に社会福祉法が施行され,我が国の社会福祉の目的に地域福祉の推進が明確にされた。その目的を達成するために,市町村が地域福祉計画を策定することが努力義務とされた。一方民間の市町村社会福祉協議会は,2000(平成12)年以前から地域福祉計画(現在では名称を地域福祉活動計画としている)の策定を行ってきた。行政である市町村が立てる計画と,民間の市町村社会福祉協議会が立てる計画の目的は,社会福祉法の目的である地域福祉の推進を進めることである。その内容から考えるに,共通の政策・施策・事業を協働分担することで,社会福祉法で目的とされた地域における福祉の推進が浸透すると考えられる。現在多くの市町村で市町村地域福祉計画と市町村社会福祉協議会の地域福祉活動計画が一体的に作成されている。一方,一体的に策定されず別々に策定が進んでいる地域,行政の努力義務なので未だに市町村地域福祉計画が策定されていない地域(厚生労働省によると2017(平成29)年3月31日時点で市町村地域福祉計画策定済市区町村は69.6%,策定予定市区町村は8.3%,策定未定市区町村は22.2%となっている)も存在する。筆者は市町村地域福祉計画と市町村社会福祉協議会の地域福祉活動計画を一体的に策定する方法でこれまで各地の計画策定にかかわってきた。一方一体的策定をしていない地域の計画策定にもかかわってきた。本論文は,市町村地域福祉計画と市町村社会福祉協議会の地域福祉活動計画との一体的な策定での得られる意義を確認しつつ,地域における福祉の推進に対して,計画を一体的策定する場合の優位性を考察してみたいと考える。