- 著者
 
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             朴 雪梅
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 国際日本文化研究センター
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 日本研究 (ISSN:09150900)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.56, pp.121-147, 2017-10 
 
          
          
          
        
        
        
        1907年2月、東京の中国人女子留学生たちによって『中国新女界雑誌』(中文)が創刊された。本稿は、主にこの雑誌の発刊意図とそこに掲載された翻訳記事を中心に分析し、同誌の中国人女子留学生たちが求めた理想的女性のモデルが同時Iの日本人女性ではなく、女性解放の先頭に立って活躍する欧米人女性であったことを論証した。 編輯兼発行人である燕斌をはじめ、当時の中国人女子留学生たちがこの雑誌を創刊した目的は、中国人女性たちを「女国民」へと育成することであった。そのため彼女たちは、政治上においてまだ独立した人格を持たず、女性解放の萌芽的段階にあった日本の女子教育/女性論をモデルとせず、西欧諸国の最新の女子教育/女性論を選び、中国の女性たちに紹介したのである。さらに、清朝政府の女子教育開始に対応して、日本の女子教育に関する数多くの教科科目を翻訳する際にも、彼女たちはその中に顕著であった「女は内」という性役割分業思想、家庭内での奉仕を通じて間接的に国家に貢献する「良妻賢母」思想についての記事をすべて削除した。また、欧米女性の立身伝を翻訳するに当たり、日本の翻訳書から数名を選んで重訳したが、その選択基準も、一定の識字教育を施せば当時の中国でも登場し得るような現実に即したモデルが多かった。