- 著者
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小澤 薫
- 雑誌
- 経済研究所年報 (ISSN:02859718)
- 巻号頁・発行日
- no.49, pp.227-239, 2017-10-10
本研究では,生活保護ケースワーカー,査察指導員の業務とそれへの意識から福祉事務所が直面している課題を明らかにすることを目的としている。研究対象は,新潟県内の福祉事務所で,生活保護業務を担当する現業員と査察指導員の全員とし,郵送で調査を行った。「担当ケース数」「所持資格」「経験年数」「訪問計画通りの訪問」「仕事への意識」などの項目から分析を行った。「希望の部署でなかった」「早く異動したい」という現在の職場・仕事に対して否定的な回答が多かった。その背景として,過重な業務量,専門性の欠如,指導支援体制の未確立という点が挙げられた。住民の福祉を守る最前線としての福祉事務所において,生活保護業務の意義を確認し, 1 人ひとりの住民,利用者に向き合う体制,組織として課題に取り組む体制が求められている。あわせて,国の決定だけでなく,自治体として住民の福祉を支えていく体制の在り方を見直していく必要がある。