- 著者
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西川 和孝
Kazutaka Nishikawa
- 出版者
- 淑徳大学人文学部紀要委員会
- 雑誌
- 研究論集 (ISSN:21895791)
- 巻号頁・発行日
- no.2, pp.43-54, 2017
本稿では、従来、等閑視されてきた中国のアヘン輸出の歴史的意義の解明を目指し、その基礎的作業として中国のアヘン生産と輸出の拠点として重要な役割を果たした雲南に焦点を当て、清朝末期における東南アジアに繋がるアヘン交易の実態に迫る。そこで、雲南におけるアヘンの輸出ルートである、東南アジアに直結する①紅河沿いルート②思茅ルート③騰越ルートと、外省を経由する④広西省龍州ルート⑤広東省北海ルートについて各々の経路と輸出量の検討分析を行い、以下の点を指摘する。即ち、まず、仏領インドシナとのアヘン取引の解禁に伴い、輸出ルートは、外省経由から紅河沿いルートに収斂されていったこと。次に人口が密集するトンキン・アンナンを中心に、低価格を武器にインド産アヘンとの市場競争を有利に進め、急速に普及したこと。そして、最後に、こうしたアヘンの輸出量増加は、雲南の輸入をも下支えすることとなり、結果的に世界経済との結びつきを深化させていった点である。