著者
磯山 甚一
出版者
文教大学
雑誌
文学部紀要 = Bulletin of The Faculty of Language and Literature (ISSN:09145729)
巻号頁・発行日
vol.16, no.1, pp.1-26, 2002-10-01

前回はロビンソン・クルーソー物語が今日のわが国で「絶海の孤島」物語として読まれていることを明らかにした。しかし実際にはロビンソン・クルーソーの島は大陸沿岸のカリブ海に位置しており、その島における物語は18世紀カリブ海言説と考えるべきである。今回は、そのカリブ海言説としての物語が近代世界のなかでどのように読まれ、わが国では「絶海の孤島」物語となってきたかを検証する。そのためにまず、題名にある 'adventure' という語が日本語で「冒険」と訳された事実に注目する。その事実にどのような暗示があるか、'adventure' と「冒険」のそれぞれが持つ意味を確認する。そして両者の意味を比べると、訳語の「冒険」は 'adventure' のそなえる意味の一部を伝えるにすぎないこと、ロビンソン・クルーソー物語について、それを「冒険」物語として、あるいは 'adventure' 物語として読むかぎり、彼の島における生活について語ることはできないことを明らかにする。

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なお「絶海の孤島」は誤り。「ロビンソン・クルーソーの島は南アメリカ大陸の海岸線から至近距離に位置しており、実在するトニニダード島に近いカリブ海上に浮かぶ島、オリノコ川河口の島という設定になっている」 -- カリブ海とロビンソン・クルーソー物語(2) 磯山 甚一 https://t.co/uvq1eQcJQ2

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