- 著者
-
片山 剛
千里金蘭大学 教養教育センター
- 巻号頁・発行日
- no.14, pp.127-138,
夫が新たに別の妻を持つ場合、元の妻を「こなみ」、後の妻を「うはなり」と言った。そして「こなみ」はしばしば「うはなり」を憎むあまり暴力を振るう(あるいは人を使って振るわせる)こともあった。これが「うはなり打ち」である。しかし「こなみ」と「うはなり」が仲睦まじいこともありえたし、「うはなり打ち」がおこなわれる場合でも時代によってその性格は異なっていたようで、また同じ時代でもすべて同じようにおこなわれたわけでもなかった。本稿では、平安時代の文学を中心にしつつ、前後の時代にも目配りして「うはなり」「こなみ」の様相をたどる。