著者
門田 誠一
出版者
佛教大学歴史学部
雑誌
歴史学部論集 = Journal of the School of History (ISSN:21854203)
巻号頁・発行日
no.8, pp.1-18, 2018-03

本論では魏志倭人伝にみえる魏から卑弥呼に下賜された物品のうち、「五尺刀」について、漢代を中心とした鉄刀の銘文に尺の単位で表現される類例から、五尺刀の長さを推定する。また、刀銘には吉祥句などが記され、佩用する者を寿ほぐという目的があるとともに、史料・文献から臣に対する寵愛や死後の追悼の際に下賜され、匈奴に対する事例に示されるように蛮夷に対して与えられた。刀剣の長さである尺寸に関しては、漢代から南北朝にかけて、尺を単位とし、文化・教養に依拠したいわば人文的類型の表現であり、尺刀が官吏の用いる文房具的な利器であるのに対し、七尺刀が軍事的権威や個人の勇武を可視的に表徴し、五尺刀は佩刀としては一般的なものではあるが、南北朝期の歌謡にも所有が切望されることがみえ、南朝・梁では有銘の五尺刀そのものの発現が吉祥とされた。このように五尺刀を含む刀剣は、吉祥句を銘すことによって佩用者を寿ほぎ、あるいは有銘の五尺刀そのものが祥瑞であり、また、これを黄金ともに下賜品することは漢代以来の系譜を引くことを示した。五尺刀卑弥呼魏志倭人伝銘文刀剣

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