- 著者
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木鎌 耕一郎
- 出版者
- 八戸学院大学
- 雑誌
- 八戸学院大学紀要 (ISSN:21878102)
- 巻号頁・発行日
- no.56, pp.61-85, 2018-03-30
本稿の目的は、明治初期に八戸で最初のハリストス正教の洗礼を受けたパウェル源が、やがて自由民権運動に参画し、青森県会議員、そして衆議院議員として活躍した様子をできるかぎり具体的に跡づけることである。その際、第一に、明治初期の正教入信者が「国家の革新」という大志を抱き、西洋近代の思想を摂取する過程で受洗したのに対して、ニコライがもたらしたロシア正教は彼らが向かって行った「近代化」や「西洋化」に抗する宗教であったこと、そして第二に、日清戦争後に高まった反ロシア的な国民感情の中で正教徒が直面した受難に着目し、そのような事情がパウェル源の事例にどのように当てはまるかについて考察する。