著者
関 直規
出版者
東洋大学大学院
雑誌
大学院紀要 = Bulletin of the Graduate School, Toyo University (ISSN:02890445)
巻号頁・発行日
vol.54, pp.329-342, 2017

本稿は、未開拓分野であった、東京市の「市民音楽」事業の成立と展開について、一次資料の発掘・分析に基づき、実証的に明らかにすることを目的とする。考察の結果、以下の三点がわかった。第一に、1920年代に入り、社会全体に音楽が浸透し、音楽の営利的興行の影響が問題化する中で、東京市は、音楽の民衆化を実現する場となった。社会教育課長は、情操教育としての音楽を統合する社会教育論を持ち、また、声楽家・教育家の外山國彦は、都市住民の音楽教育活動を積極的に引き受けた。第二に、「市民音楽」事業は、①「市民合唱団」・「市民音楽研究会」、②「音楽演奏会」・「音楽講演会」、③「短期夜間音楽講習会」・「巡回夜間音楽講習会」の三つに大別できた。第三に、これらの事業は、音楽の民衆化の視点から、音楽の専門世界と都市住民の日常生活の相互作用を促進し、「市民音楽」の分野を効果的・有機的に構築していた。

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