- 著者
-
村岡 潔
- 出版者
- 佛教大学福祉教育開発センター
- 雑誌
- 福祉教育開発センター紀要 (ISSN:13496646)
- 巻号頁・発行日
- vol.15, pp.57-69, 2018-03-31
本稿は、クライエントに対するケアテイカーのアプローチの仕方について、私秘的言語と公共的言語の側面から考察し、両者の出会いおいて、ケアテイカーが、患者や障害者であるクライエントを正常か異常かという先入観なしにアプローチするための方法論について考察した。第I節では、意思疎通における視覚障害や聴覚障害の機能についての解題を行ない、いわゆる健常者との異同の意味について言及した。第II節では、意思疎通に関して私秘的言語と公共的言語の対比を行ない、前者への配慮の必要性について述べた。第III節では、コミュニケーションにおける文化的レンズの機能について解説し、クライエントとの対応には異文化同士の出会いのような「異邦人的接遇」が不可欠だとした。第IV節ではクライエントの私秘的言語の特徴について事例をふまえて紹介した。第V節では、個々人の環境世界と心身像について分析し、クライエントの理解にはそれらへの配慮が必要であることを指摘した。最後に第VI節では《イルネス》と《ディジーズ》の二分法において《イルネス》に象徴される私秘的言語の中心にある「主観」の復権の重要性について指摘した。私秘的言語と公共的言語クライエントとケアテイカー異邦人的接遇環境世界とプライバシー空間イルネスとディジーズ