著者
松田 智子
出版者
奈良学園大学人間教育学部
雑誌
人間教育 = Online Journal of Humanistic Education (ISSN:2433779X)
巻号頁・発行日
vol.1, no.5, pp.149-156, 2018-07

学校園では道徳教育の生命尊重の項目の目標達成のために、絵本を教材として活用する機会もあるが、死をテーマとした絵本はほとんど取り上げられることはない。これは日本の無宗教な教育背景や、子どもに死は無縁であるという教育観によるところが大きい。本来、生と死は、表裏一体であり、子どもの日常生活の中に死が見えなくなっている現代社会だからこそ、死を見つめた生命尊重の教育が必要である。死を考えることは、つまり生を考えることであり、道徳の生命尊重の教育の目標達成に結び付く。本稿は、谷川俊太郎の絵本「死んでくれた」を教材として、子どもへの読み聞かせによる保育と低学年に授業を行った実践報告の分析である。実践中の子どもの反応や授業後の振り返りや感想から、道徳の生命尊重の教材として、「死」を扱った絵本の効果は高いと考えられる。

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