著者
八尋 茂樹
出版者
新見公立大学 ; 2010-
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.119-123, 2018

本稿では、まず発達障害の非行の関係性の研究や発達障害を有する非行少年の再犯防止策に関する先行研究を踏まえ、その後、発達障害を有する少年の少年院出院後の社会復帰に向けた福祉的支援への取り組みの研究の動向の把握を試みた。多くの先行研究では、発達障害を有する少年の少年院出院後の社会復帰支援に関する研究論文は非常に少なく、発達障害と非行との関係性や、少年院等での処遇について論じた後に、課題や展望として出院後の対処について触れられるケースが多かった。非行少年の更生に向けての処遇には、少年刑務所や医療少年刑務所等が存在し、また、社会的に養護されるのは児童家庭福祉的な分野において児童養護施設や児童自立支援施設等が存在する。これらの施設に入所した少年たちのうち、発達障害を有する非行少年を対象としたまとまった調査はほとんど行われておらず、今後、本稿で採り上げた動向と並行しながらそれらが掘り下げられていくことが、発達障害を有する非行少年への適切な処遇のあり方の全体像や方向性を明確にするための貢献となるであろう。

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