著者
八尋 茂樹
出版者
日本デジタルゲーム学会
雑誌
デジタルゲーム学研究 (ISSN:18820913)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.29-36, 2012 (Released:2019-10-01)

本稿ではデジタルゲームのうちコミュニケーション可能な癒し系シミュレーションゲームを利 用した、不登校児童、あるいはひきこもり青年に対する教育福祉的支援の施療事例、すなわち、対象 児童(青年)をデジタルゲームを媒介とした施療によってコミュニケーション不全から回復させ、対 峙する問題への対処・治療ができる段階まで促進させるアプローチの試みを提示した。適切な手法に 則って利用することで、一般的な娯楽目的で流通しているゲームソフトの中にも、教育福祉的支援に も有用である、社会性育成的要素を強く含んだ作品が存在する可能性があり、今後、教育福祉分野に おいてデジタルゲーム研究が促進されるべきであると本稿では考える。
著者
八尋 茂樹
出版者
新見公立大学 ; 2010-
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.119-123, 2018

本稿では、まず発達障害の非行の関係性の研究や発達障害を有する非行少年の再犯防止策に関する先行研究を踏まえ、その後、発達障害を有する少年の少年院出院後の社会復帰に向けた福祉的支援への取り組みの研究の動向の把握を試みた。多くの先行研究では、発達障害を有する少年の少年院出院後の社会復帰支援に関する研究論文は非常に少なく、発達障害と非行との関係性や、少年院等での処遇について論じた後に、課題や展望として出院後の対処について触れられるケースが多かった。非行少年の更生に向けての処遇には、少年刑務所や医療少年刑務所等が存在し、また、社会的に養護されるのは児童家庭福祉的な分野において児童養護施設や児童自立支援施設等が存在する。これらの施設に入所した少年たちのうち、発達障害を有する非行少年を対象としたまとまった調査はほとんど行われておらず、今後、本稿で採り上げた動向と並行しながらそれらが掘り下げられていくことが、発達障害を有する非行少年への適切な処遇のあり方の全体像や方向性を明確にするための貢献となるであろう。
著者
八尋 茂樹
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.125-128, 2013

本報告は,2013年5月11日,12日の2日間に渡って開催された第15回鳴滝祭(大学祭)において企画した駄菓子 屋模擬店の運営結果,そして,2013年7月20日,にいみ御殿町土曜夜市での模擬店の運営結果を地域貢献の視 点から捉えたものである。筆者は駄菓子屋模擬店の運営を通しての地域貢献への取り組みを2011年度から継 続的におこなってきている(八尋,2011,2012)。3年目を迎えた今年度の駄菓子屋模擬店は,昨年度の課題 として挙げた(1)駄菓子屋模擬店を継続させることで恒例的なイベント化し,市民の間で定着させること,(2) 昨年度,要望の多かった「大学祭以外における運営」について取り組んでみるという2点をテーマとして取り 組んだ。今年度の学内外での取り組みの結果,訪れた市民の方々からは総じて好意的に捉えていただき,本 実践が少しずつ定着化してきたことがわかった。さらには,運営に携わった保育学生たちにとって,対人労 働における基礎について考える機会となることがわかった。
著者
八尋 茂樹
出版者
新見公立大学
雑誌
新見公立大学紀要 (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.145-148, 2014

本稿では,新見公立大学・短期大学構内で4年連続でおこなった駄菓子屋模擬店が地域住民に対し福祉的に どのような貢献ができたか,また,この活動に参加した保育学生たちがどのような学びを得たかを考察した。 その結果,親子や家族内での良好なコミュニケーションの一助になりえたことや,近年の機械的な買い物で は学べない「人と人との濃い関わりから生まれるぬくもり」などを感じる大切な機会を提供できたことがわ かった。また,保育学生たちが,ひとりひとりとの結びつきを大切にする対人援助職の基礎について学ぶ機 会を得ていることもわかった。今後も多くの人たちが大学へ足を運ぶ機会としながら,地域社会に貢献でき る企画のひとつへと成長できるよう継続していきたい。