著者
百田 由希子 平田 知子 三好 年江
出版者
新見公立大学 ; 2010-
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.153-156, 2020

親子のふれあいや、妊娠期からの積極的な育児支援へつなげることを目的に「親子のふれあい遊び」「プレママさん、プレパパさん大集合」と題し、子育て中の親子や妊婦やその家族を対象に企画を開催した。「親子のふれあい遊び」では、ベビーマッサージを実施し、その後、座談会として日々の育児不安や悩みについて、お母さん同士、意見交換を行った。また、「プレママさん、プレパパさん大集合」では、バースプランや育児プランを語ってもらい、これから迎える出産に対して気持ちの整理を行った。その後、親子交流広場に移動して、広場に常駐する子育て支援者(以下スタッフ)から育児支援の情報提供をしてもらったり、実際の子どもや保護者と関わる時間を設けたりした。参加者の感想として、「気分転換になった」「赤ちゃんの人形を抱っこしてみて少し不安が解消された」といった意見を聞けた。
著者
八尋 茂樹
出版者
新見公立大学 ; 2010-
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.119-123, 2018

本稿では、まず発達障害の非行の関係性の研究や発達障害を有する非行少年の再犯防止策に関する先行研究を踏まえ、その後、発達障害を有する少年の少年院出院後の社会復帰に向けた福祉的支援への取り組みの研究の動向の把握を試みた。多くの先行研究では、発達障害を有する少年の少年院出院後の社会復帰支援に関する研究論文は非常に少なく、発達障害と非行との関係性や、少年院等での処遇について論じた後に、課題や展望として出院後の対処について触れられるケースが多かった。非行少年の更生に向けての処遇には、少年刑務所や医療少年刑務所等が存在し、また、社会的に養護されるのは児童家庭福祉的な分野において児童養護施設や児童自立支援施設等が存在する。これらの施設に入所した少年たちのうち、発達障害を有する非行少年を対象としたまとまった調査はほとんど行われておらず、今後、本稿で採り上げた動向と並行しながらそれらが掘り下げられていくことが、発達障害を有する非行少年への適切な処遇のあり方の全体像や方向性を明確にするための貢献となるであろう。
著者
矢嶋 裕樹 矢庭 さゆり
出版者
新見公立大学 ; 2010-
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.27-33, 2018

本研究は、中山間地域の高齢者を対象に、被援助志向性の実態とその社会的要因を明らかにすることを目的とした。2017年5月下旬に、新見市選挙人名簿より1/10の確率で無作為抽出された高齢者1,182名を対象に、郵送法による無記名自記式質問紙調査を実施した。調査内容は、高齢者の基本属性と被援助志向性に加え、外出頻度(閉じこもり傾向)、社会的交流(サポート授受)、悩みの深刻度とした。回答が得られた731名(回収率61.8%)のうち、各項目に欠損値のない485名を分析対象とした。一般線形モデルの結果、被援助志向性と有意な関連がみられたのは、性別、世帯構成、閉じこもり傾向、サポート受領であった。男性、独居、閉じこもり傾向がある、サポート授受の機会が少ないほど、被援助志向性が低い傾向にあった。以上の結果は、高齢者の社会参加を促進するサロン事業等の取組みが、高齢者の孤立化防止のみならず、被援助志向性や援助要請の向上・促進にも寄与しうることを示唆するものである。The purpose of the study was to examine help-seeking preference and its social correlates among older adults living in amountainous area, Japan. Self-administered questionnaires were mailed to 1,182 randomly selected older adults aged 65 and older inNiimi city, Okayama prefecture, Japan. The questionnaire included the Help-Seeking Preference Questionnaire as well as itemsassessing social correlates such as household type, homebound status, and social reciprocity. Of 731 (61.8% correct responses) whocompleted and returned the questionnaire, 485 older persons without missing data were analyzed. A series of general linear modeling(GLM) results showed that help-seeking preference had significant associations with gender and with household type, homeboundstatus, and social reciprocity after adjusting for confounding factors such as age, gender, self-rated health, and level of psychologicaldistress. Those who were male, living alone, homebound and did not interact with others had lower preference to seek help. Thesefindings suggest that interventions to promote social participation of older adults (e.g. community salon) could increase their preferencefor seeking help, as well as preventing social isolation and loneliness.
著者
藤田 彩見 矢嶋 裕樹 二宮 一枝
出版者
新見公立大学 ; 2010-
雑誌
新見公立大学紀要 = The bulletin of Niimi College (ISSN:21858489)
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.41-46, 2018

本研究は、発達障害児の母親を対象に療育機関の専門家に対する援助要請行動の実態を明らかにすることを目的とした。A県の児童発達支援事業および福祉型児童発達支援センター24施設を利用する児の母親549人を対象に無記名自記式質問紙調査を行った。回収票196部(回収率35.7%)のうち、分析に用いるデータに欠損がなく、発達障害に関する診断名以外のものを除外した144人のデータを分析に用いた。子育てについて悩みが「ある」と回答した者のうち、療育機関の専門家に対して援助要請することが「まったくなかった」「ほとんどなかった」「あまりなかった」と回答した者は44人(32.6%)であった。育児ストレスの高低と援助要請頻度の高低とを掛け合わせた結果、育児ストレスが高いが、援助要請頻度が低い群は16人(11.9%, 95%信頼区間=6.4-17.4)であった。発達障害児の母親の精神的健康の悪化を予防するため、母親が適切な援助要請行動をとれるように相談支援体制の充実を図る必要性が示唆された。The purpose of this study was to examine mother's professional help-seeking regarding their child's developmental problems. Ananonymous self-administered questionnaire was given to a convenience sample of 549 mothers of children with developmentaldisabilities who were users of 24 child development support centers, in A prefecture, Japan. Finally, 196 returned a completedquestionnaire (correct rate: 35.7%) and data of 144 mothers were analyzed. The results showed more than half of the mothers reportedhigh intensity of parenting stress. Furthermore, about 10% of these mothers were reluctant to seek professional help for parentingconcerns and their child's developmental problems. These findings suggest the necessity of improving consultant and support systemfor mothers and their child, to increase professional help-seeking and prevent mothers' mental disorders.