著者
林 博史
出版者
関東学院大学経済学部・経営学部教養学会
雑誌
自然・人間・社会 (ISSN:0918807X)
巻号頁・発行日
vol.64, pp.1-28,

米国の第2 次世界大戦への参戦直前に締結された「米国への基地貸与に関する英米協定」によって、米国は英国に対して駆逐艦50 隻を引き渡す代わりに、英国がいくつかの自治領と植民地の土地を米軍基地のために99年間貸与することとなった。これに基づいて英国は、自治領だったニューファンドランドのほかに植民地であったバミューダ、バハマ、ジャマイカ、アンティグア、セントルシア、トリニダード、英領ギアナの土地を提供した。この協定では刑事裁判権について派遣国だけでなく受入国の裁判権も認め、競合裁判権の仕組みが採用された。しかしニューファンドランドでは一定の裁判権を行使したが、カリブ海植民地においてはほとんど裁判権を放棄した。その違いを生み出した最大の要因は英当局の人種主義であった。この米軍駐留地における刑事裁判権行使の差別の構造はNATO 地位協定締結後にも継続していく。

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こんな論文どうですか? 英米基地協定下の米軍基地と刑事裁判権 : ニューファンドランドとカリブ海地域(下)(林 博史), https://t.co/1IFokpCubW

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