- 著者
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岩橋 勝
- 出版者
- 名古屋学院大学総合研究所
- 雑誌
- 名古屋学院大学論集. 社会科学篇 = Journal of Nagoya Gakuin University (ISSN:03850048)
- 巻号頁・発行日
- vol.55, no.2, pp.51-63, 2018
近世日本の経済発展を検討する際,貨幣流通量の推移把握は基本的事項のひとつである。これまで幕府発行金銀貨についてはおおむねあきらかであったが,銭貨については鋳造所の分散等による理由から鋳造高総量の動向や,銭貨種別ごとの構成比率などはあきらかでなかった。明治新政府による金銀銭貨在高調査記録はあるが,これまで判明するかぎりの徳川期銭貨在高データとは接合が困難であり,同記録の正確性自体にも疑念が向けられていた。 本稿は,これまで銭貨在高に関連する個別先行研究を検討しつつ,日本銀行調査局が詳細に調査した各地銭座鋳造高の集計化をはかった。ついで金銀貨改鋳時期に対応させつつ,徳川期銭貨在高と新政府記録との接合を試みた。さらに,銭貨種別ごとの鋳造高も推計し,金銀貨との関連で経済発展に銭貨が果たした役割を考察した。