- 著者
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井上 奈美子
- 出版者
- 福岡県立大学人間社会学部
- 雑誌
- 福岡県立大学人間社会学部紀要 (ISSN:13490230)
- 巻号頁・発行日
- vol.27, no.1, pp.97-110, 2018-09
本稿は、キャリア教育関連の先行研究を概観し、大学におけるキャリア教育のあり方について考察するものである。先行研究からは大枠で2つの視点からの研究があることが見て取れた。まず、スーパーらが示す心理学と職業選択理論を中心としたものであり、学生が職業社会へ移行する段階では、自己理解をしたうえでの主体的行動が必要であり、それは相互作用の場において何らかの役割があることが行動を促進するとされる。他方、シャインを代表とする人的資源の視点からは、職業社会では生涯を通して自律した精神を持つことが求められ、個人がキャリアを予測・計画する行為が肝要であるとしている。文献研究を通して見えてきたことは、スーパーの「役割を与えることによる職業観の醸成」を指摘した理論を援用した、学生のキャリア教育の検討の必要性と、ライフ・キャリアという広い視点でキャリアを捉えた教育プログラムの構築の必要性である。