著者
小林 准士
出版者
史学研究会
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.96, no.4, pp.525-565, 2013-07

一八世紀半ぱ以降、山陰地方の浄土真宗優勢地帯では、真宗門徒が小寄講を結成し僧侶を招いて法談を聴聞する活動が活発となる。この法談の場を通じて、僧侶たちは門徒に対し浄土真宗の神祗不帰依の宗風を遵守するように教導していくが、いっぽうでこの宗風をめぐって神職などとの紛争もしばしば起こるようになった。また、同じく一八世紀半ば以降、領主や村役人たちは、活発化する民衆の宗教活動の統制を図ろうとしたが、こうした民俗の世界への介入は民衆の信仰の獲得をめぐって競合する宗教者間の対立を表面化させ、かえって紛争誘発の原因ともなった。特に、真宗優勢地帯において専業の神職が多数の神祠・森神の祭祀と各家における竈祓いの執行に関わっているような出雲国や石見国では、それが神祗不帰依の宗風をめぐる僧侶と神職の争いとして現象しやすかったのである。

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CiNii 論文 -  近世真宗における神祇不帰依の宗風をめぐる争論の構造と展開 https://t.co/ehopLWJYyJ #CiNii

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