- 著者
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廣井 いずみ
- 出版者
- 奈良大学
- 雑誌
- 奈良大学紀要 = Memoirs of Nara University (ISSN:03892204)
- 巻号頁・発行日
- no.47, pp.93-107, 2019-02
非行経験者が非行から離脱するときに、他者とどのように関係性を発展させ、どのような体験を積むのか、援助要請行動が見られるのはどの段階か、非行経験者の手記を分析することで検討した。非行経験者は、大人に対する不信感、周囲との機能不全のコミュニケーションの課題を抱え、それぞれの課題に対して、①支え、ガイドしてくれる大人との出会い、②周囲との関係性の構築を体験することが、課題解決のプロセスになる。援助要請には、非行や非行集団からの離脱のための援助要請、今後の進路の実現のための援助要請の2種類が見られ、前者については、①支え、ガイドしてくれる大人との出会いを経験していることで、主としてフォーマルな援助要請が為され、一方後者については、①支え、ガイドしてくれる大人との出会い、②周囲との関係性の構築を体験した後、構築された関係性を基盤に、インフォーマルな援助を求めるのではないかと論じた。