著者
花澤 寿
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.67, pp.329-337, 2019-03

[要約] ポリヴェーガル理論(多重迷走神経理論)は,進化論と神経生理学に基づき,Porges が提唱した自律神経系の適応反応に関する新しい理論である。この理論によると,哺乳類が獲得した新しい自律神経である腹側迷走神経と,それと連係協働する脳神経群が形成する腹側迷走神経複合体が,より原始的な自律神経(交感神経系,背側迷走神経系)をコントロールすることにより,最も適応的なストレス反応が可能になる。腹側迷走神経複合体が司るのは,人と人とのつながりと,安全・安心の感覚を結びつける社会的関わりシステムである。治療者と患者の関係性が重要な意味を持つ精神療法を,ポリヴェーガル理論を基礎において検討することにより,精神療法一般に共通する理論的基盤と実践的方法論が得られる可能性について考察した。

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逆境的小児期体験がどのように長期的影響をもたらすのかについての理論的展開 ”ポリヴェーガル理論からみた精神療法について” https://t.co/JKsJsa1ZQi
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