著者
ポッシャー ラルフ 松原 光宏 土屋 武
出版者
日本比較法研究所
雑誌
比較法雑誌 (ISSN:00104116)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.115-136, 2013

人間の尊厳の絶対性をめぐっては,とくに9.11テロ以後,議論が再燃している。人間の尊厳の保障の相対化可能性を明示的に認める者もあらわれている。 ポッシャーは,本論文において,人間の尊厳が法ドグマーティクにおいて絶対性をもつものとされることは,法ドグマーティクの内的視点のレベルの目的合理性判断では説明できるものではないとし,社会学(法社会学)を手がかりに,この点に検討を加える。そして,①人間の尊厳は単なる禁止を超えたタブーとしての性格を持ち,そもそもそれを主題化することも禁止され,これに触れる行為については目的合理性に基づく衡量には服しない,②人間の尊厳の相対化を認めると,その例外がインフレ化することから,人間の尊厳の侵害を法的なタブーとし,その違反に制裁を科すことで, 「悲劇的選択」の濫用を防ぐ,③それでもなお人間の尊厳を侵害しなければならない極めて例外的ケースも理論上は存在するがその場合は法的制裁を受ける覚悟のもとで,個人の倫理的責任によりタブー破りが行われる,そして,社会は「悲劇的選択」の処理からわかるように,法と倫理の構造的カップリングが対抗的な形で行われることになる,ことなどを指摘する。

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[ルーマン解読][人間とは] ラルフ・ポッシャー(2004→2013)「翻訳 タブーとしての人間の尊厳」松原光宏・土屋 武 訳、比較法雑誌 46(4), 115-136, 2013、日本比較法研究所

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