著者
髙橋 裕次
雑誌
書道学論集 : 大東文化大学大学院書道学専攻院生会誌 (ISSN:13489313)
巻号頁・発行日
no.15, pp.A29-A35, 2018-03-31

デジタルマイクロスコープを使って料紙を観察していると、たとえば掛幅装などの場合、料紙の重さを計れないため、料紙の特性を検討するための密度を知ることができないなどの困難に遭遇する。また透過光による観察で、表装の肌裏、増裏、総裏など裏打ち紙の繊維の影が一緒に写ってしまい区別ができないこともある。そこで、繊維の形状や添加物などをより把握しやすくする方法がないかと考えていたところ、顕微鏡の開発に携わっている技術者との会話のなかで、最新型の顕微鏡のもつEDOF(強化被写界深度)機能を応用して、繊維の状態を把握できるかもしれないと考えるにいたった。EDOFは、焦点距離の異なる一連の画像を組み合わせて一枚の画像を合成することにより、被写界深度(焦点の合う範囲)を拡大するものである。料紙に下からの透過光をあてながらEDOF機能をもつ顕微鏡で撮影した、焦点距離の異なる一連の画像をそれぞれに分析することで、内部の繊維、添加物の状態と、その正確な位置が確認できる。料紙の現状を損なわずに、その内部の様子を容易に観察することが可能になれば、料紙の研究もさらに進展すると思われる。

言及状況

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髙橋 裕次 -  デジタルマイクロスコープからみた日本の料紙の特色 https://t.co/ugMaeAOx2H

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