- 出版者
- 佛教大学大学院
- 雑誌
- 佛教大学大学院紀要. 社会福祉学研究科篇 (ISSN:18834019)
- 巻号頁・発行日
- no.48, pp.85-101, 2020-03-01
「自立支援」を打ち出した介護保険制度,そのスローガンであった「介護の社会化」は「介護予防重視」「自助・互助」へと国民に責任を押しつけ,信頼・期待を失いつつある。特に介護予防・日常生活支援総合事業の導入以降は,サービス利用からの強制的終了(卒業の押し付け)事例が起こり,これが介護予防ケアマネジメントの自立支援かのように評価される危機にある。 介護予防ケアマネジメントにおける「高齢者の自立・自立支援」について,居宅ケアマネジャーに対し調査を実施した。狭義のKJ法の結果,ケアマネジャーは「精神的自立」がカギであり,サービス等利用による継続支援は自立と考えていること,また制度と高齢者間の「かみ合わなさと困難さ」,現場での自立支援の実践と自身の専門性に葛藤を抱えていることが明らかになった。持続可能な制度という国の目標は,本来めざす高齢者の自立支援とケアマネジャーの専門性を揺るがしている。高齢者の自立支援介護保険制度介護予防ケアマネジメントサービス卒業専門性