- 著者
 
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             深見 聡
             
             坂井 伸子
             
          
 
          
          
          - 出版者
 
          - 九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
 
          
          
          - 雑誌
 
          - 九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
 
          
          
          - 巻号頁・発行日
 
          - vol.6, no.1, 2020-03-31 
 
          
          
          
        
        
        
        本研究の目的は、『十六夜日記』に登場する多くの地名詠の中から、これまで注目されてこなかった馴染みの薄い地名を詠み込んだ和歌を分析し、その特徴を明らかにすることである。鎌倉時代に阿仏尼が京都から鎌倉までの行程を描いた紀行文である『十六夜日記』の中で、特に地名詠の集中している「路次の記」を考察の対象とする。表現技巧の分析や先行歌との関係性を具体的に検討することにより、これまで注目されてこなかった地名詠にも、阿仏尼の心情や歌道家としての技能、当時の東海道の最新の様子などが盛り込まれていることがわかった。また、先行歌との影響関係からは、為家歌との関連性からその影響力が十分に看取される。さらには、鎌倉・宇都宮といった東国歌壇との影響関係にも注目され、それらの和歌には阿仏尼独自の世界を打ち出そうとする姿勢が見られることが明らかになった。