著者
山田 高誌 Yamada Takashi
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, pp.No.5, 2018-03-31

本論文は, 18世紀後半のナポリの諸劇場と関わりをもった作曲家, 台本作家, 演奏家, それぞれの待遇の経年変化, キャリアの変化について, ナポリ銀行歴史文書館所蔵, 興行師による支払い文書史料134点の支払い文書全訳とともに, その労働条件, 職務を解明するものである.
著者
桜井 芳生
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, 2015-10

「社会学の危機」をめぐる論調のなかで、注目に値するもののひとつが、コスミデス・トゥービーによる、「標準的社会科学モデル(SSSM)」批判の議論だろう。彼らは進化心理学を基盤とし、自然科学と社会科学とをつなぐ試みを提唱した。社会学の伝統にある中核部分が、近代科学についてのある種の思いこみによって、不当に軽視されたきたのであるが、その部分を、まさに、現代ダーウィニズムを援用することで、再評価することができるのではないか、ということを、本稿で筆者は示してみたい。その中核部分とは、理解社会学的方略である。まさに現代ダーウィニズムを援用することで、理解社会学をはじめとする社会学的方略への、懐疑が、かなり軽減し・異なった様相でみえてくるということを示してみたい。
著者
金城 克哉 Kinjo Katsuya
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, 2014-03

本論は、ゲイ向け雑誌『G-men』誌に掲載された官能小説(「野郎小説」)に頻出する9つの男性器表現を述語との共起関係から特徴づけることを目的とするものである。従来このような性に関する言葉は学術的に研究されることがほとんどなかった。本論では因子分析により3つの因子を抽出し、また階層的クラスター分析によって9つの表現の類似度を示すことに成功している。セクシュアリティと言葉の関わりという点から、これまでなされていない新たな研究の可能性が示唆されたと言える。This paper tries to analyze characteristics of nine male genital expressions which often appear in gay-targeted erotic novels by applying multivariate statistics. Based on the observation of cooccurrence between these genital expressions and their accompanying verbs, it will be claimed that factor analysis identified three factors, namely, Chimpo factor, Chinko factor and Inkei factor, which express "virility or toughness", "being embarrassed", and "organ" respectively. Also, principal component analysis reveals that "virility or toughness" is in the opposite end of "being embarrassed". Further, hierarchical cluster analysis will show us these nine expressions are grouped into three clusters. The academic discussion on these expressions is rare, so the analyses conducted in this paper contribute extensively to the study of sexuality-related expressions.この論文は「言語文化研究紀要」(22号2013年p21-40)に掲載された論文を査読し、「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.1, No.2(2014/3)に採択されたものである。
著者
深見 聡 坂井 伸子
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, 2020-03-31

本研究の目的は、『十六夜日記』に登場する多くの地名詠の中から、これまで注目されてこなかった馴染みの薄い地名を詠み込んだ和歌を分析し、その特徴を明らかにすることである。鎌倉時代に阿仏尼が京都から鎌倉までの行程を描いた紀行文である『十六夜日記』の中で、特に地名詠の集中している「路次の記」を考察の対象とする。表現技巧の分析や先行歌との関係性を具体的に検討することにより、これまで注目されてこなかった地名詠にも、阿仏尼の心情や歌道家としての技能、当時の東海道の最新の様子などが盛り込まれていることがわかった。また、先行歌との影響関係からは、為家歌との関連性からその影響力が十分に看取される。さらには、鎌倉・宇都宮といった東国歌壇との影響関係にも注目され、それらの和歌には阿仏尼独自の世界を打ち出そうとする姿勢が見られることが明らかになった。
著者
金城 尚美 渡真利 聖子
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.2, pp.No.11, 2016-03

国の施策による留学生の増加により、日本に来る留学生の背景が多様化している。また日本という異文化の環境におかれ心身に不調をきたす留学生も少なくない。そのため、より充実した支援が求められている。本稿では特に精神的な面で問題を抱える留学生についてどのようなサポートを行ったのか事例を報告し、指導教員の役割について考察した。その結果、留学生の個人情報の保護に配慮しつつ、関係教職員、専門家、友人を含めた関係者との連携と恊働によるサポート態勢の必要性が浮き彫りになった。さらに連携と協力、適切な支援のためには指導教員がキーパーソンとなり「つなぐ」という役割が重要であることがわかった。
著者
金城 克哉 Kinjo Katsuya
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, 2013-10

本稿では槇原敬之の17枚のオリジナルアルバムの歌詞を分析し、まず語彙の構造を明らかにした。今回の調査では延べ語数においても異なり語数においても動詞が名詞を上回っていること、また英語の歌詞がかなり含まれていることがわかった。また、頻度30以上の119語を用いた主成分分析では例外的なアルバム(『不安』)はあるものの、概ね1999年までのアルバムと2000年以降とではっきりと分かれること、また階層的クラスター分析では最初期の2枚のアルバムが1つのクラスターを成していることが明らかとなった。これらのクラスターは評論家の意見、また槇原自身の言葉とも一致していることがわかった。この論文は「琉球大学欧米文化論集」(57号2013年p23-42)に掲載された論文を査読し、「九州地区国立大学教育系・文系研究論文集」Vol.1, No.1(2013/10)に採択されたものである。
著者
大平 晃久
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.2, 2021-03-31

本稿では,負の記憶の景観化の事例として,関東地方における1968年以降の返還,かつ返還面積の比較的広い米軍基地跡地45か所を取り上げた。これら基地跡地の記憶が,現地へのモニュメントや解説板などの設置によって,いかに可視化されているかを調査・報告するとともに,アメリカの歴史地理学者フットの示した,負の記憶の景観化の4類型について考察を行った。 対象とした基地跡地のうち,基地跡地に関わるモニュメントがあるのは7か所,解説板があるのは12か所にとどまる。米軍基地跡地そのものを記念したモニュメント類は皆無で,基地跡地の記念が忌避され,あえてモニュメントがつくられていないようにみうけられる事例もある。さらに、米軍基地跡地のなかには,「平和」という表象によって否定的に記念されている事例,基地闘争への勝利・基地跡地の復興を記念することによって否定的に記念されている事例があることを示した。これらはフットが4類型の一つとして定義した,現地を放置する,景観的な「抹消」とは異なるものの,現地において表象レベルで米軍基地跡地の記憶を「抹消」するものであり,フットの4類型に若干の見直しが必要であることを試論的に示した。
著者
坂井 伸子 深見 聡
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, 2020-10-30

本研究の目的は、『十六夜日記』の和歌表現に関して、歌枕を一つの指標として分析し、その特質を明らかにすることである。特に歌枕が頻出している「路次の記」を考察の対象とする。歌論書・同時代の紀行文等12の文献との比較や和歌表現の分析を行うことにより、伝統的な名所歌枕の価値を認め詠歌しつつも、時代の変化に合わせ新奇な地名において、自身の感懐を表現する和歌がみられることがわかった。そこには、伝統的かつ古典主義的な知識を踏まえながらも、新しい視点で東海道の景観や風物を活写し、自身の感懐を読み手に伝えようとする阿仏尼の姿勢が看取される。『十六夜日記』「路次の記」の和歌には、題詠の時代から一歩踏み出し、新しい地名に一つの評価を与える阿仏尼の新見性がみられることが明らかになった。
著者
山田 高誌 ヤマダ タカシ Yamada Takashi
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.2, 2018-03-31

本論文は, 18世紀後半のナポリの諸劇場と関わりをもった作曲家, 台本作家, 演奏家, それぞれの待遇の経年変化, キャリアの変化について, ナポリ銀行歴史文書館所蔵, 興行師による支払い文書史料113点の支払い文書全訳とともに, その労働条件, 職務を解明するものである.
著者
八丁 由比
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.No.8, 2017-09-30

In 1945, the United Nations Charter was signed in San Francisco after the United Nations Conference on International Organization. In the first chapter, “Purposes and Principles,” four purposes are stated, and one of them refers to racial equality: to “achieve international co-operation . . . in promoting and encouraging respect for human rights and for fundamental freedoms for all without distinction as to race, sex, language or religion.” Considering that President Wilson, 25 years ago, refused to accept the Japanese proposal for inserting a short clause about the abolition of racial discrimination into the Covenant of the League of Nations, the United Nation Charter accepted to bear a responsibility this time. Based on official documents of the time and secondary works, this article examines the origins and the driving forces both within and outside of the Roosevelt Administration that led to the inclusion of the clause. It draws attention to the substantial contribution of a private organization such as the Commission to Study the Organization of Peace and its close relationship with government officials. It concludes that the reference to racial equality was not the result of single organization or country, but of various countries and people who were concerned about the nature of the new international organization.
著者
桜井 芳生
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.4, no.1,2, pp.No.25, 2017-03

見田宗介の『社会学入門』の中核部分を検討する。あくまで蓋然的な推量にすぎないが、見田は、彼の(修正)「ロジスティックス曲線」を記述した(2006a,b)さいに、古田(1998)自体、かつ・あるいは2005年以前の、古田(1996)系統の(諸)文献を典拠とし、そのさい、ロジスティック曲線の表記を、ロジスティック「ス」曲線と、誤写した。そして、「高原」(2014)論文にいたる、同主旨の数々の論文・講演でふたたび典拠にあたることはせずに自己引用に終始したと、わたしは思料した。以上がただしいかぎり、「安定」(2014:29)か「滅亡」(2014:29)かを「免れることはできない」(2014:29)とはいえない【結論】。
著者
瀬戸崎 典夫 全 炳徳
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.4, no.1,2, pp.No.12, 2017-03

本研究は,全天球パノラマVR教材におけるユーザインタフェースを評価し,評価結果をもとにVR教材を改善した.さらに,小学6年生を対象とした授業実践によって改善した教材を評価することを目的とした.ユーザインタフェースの評価の結果,観察地点や文字,音声などの提示情報の追加が課題であることが示された.そこで,全天球パノラマVR環境を有する観察地点において,2地点のパノラマコンテンツを追加し,各観察地点におけるモニュメント等の現在の写真をVR環境に重畳表示した.さらに,VR環境に重畳表示された写真に,音声による解説と文字による説明を示した.次に,改善した全天球パノラマVR教材を活用し,修学旅行における事後学習を2つの小学校で実践した.その結果,本教材は興味や意欲を高めることができ,振返りの教材として有用であることが明らかになった.また,学習のねらいや活動内容によって,学習者の意欲や長崎にいるような実感に対する評価が異なることが示された.
著者
Fukaura Atsuyuki
出版者
九州地区国立大学間の連携に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集 (ISSN:18828728)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, 2013-10

The Japanese minimum wage system adopts the guidelines system. Under this system all prefectures are classified into several groups, with considering the regional social and economic conditions. A standard of the rise of minimum wage width is also shown for each group, and the minimum wage of the prefecture is determined by referring the standard. Therefore, in which group each prefecture is ranked has an important economic and political implication, because it determines the regional minimum wage indirectly. In this paper, by adapting the more analytical and statistical technique than the method the current guideline depends on, we examine the validity of the current ranking system. It was shown that, under the guideline system, some prefectures are ranked more higher or lower than the real economic condition suggests. Furthermore, its influence on regional economy depends strongly on a skewness of the wage-income distribution.
著者
林 亮輔
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.No.16, 2015-10

民間経済活動が行政区域を越えて行われている今日、地域政策は一体性の強い地域を対象に行う必要がある。しかし、民間の経済活動には様々な側面があるにもかかわらず、わが国においては学術的にも政策的にも、職場と居住地からなる通勤圏を都市圏とすることが多い。そこで本稿では、企業活動に基づいた都市圏である企業活動圏を法人使用車移動率によって設定し、金本・徳岡(2002)において設定されている都市雇用圏(通勤圏)と比較した。その結果、都市雇用圏は、中心都市と郊外都市が互いに隣接し合いながら形成されているのに対し、企業活動圏は、高速道路の存在により、郊外都市が点在しながら圏域が形成されていることが明らかになった。このように経済活動によって、一体性を持った都市圏域が大きく異なるという事実は、研究や政策の目的に応じて都市圏域を設定することの重要性を示している。
著者
楠山 研
出版者
九州地区国立大学間の連携事業に係る企画委員会リポジトリ部会
雑誌
九州地区国立大学教育系・文系研究論文集
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.No.7, 2015-10

本研究は、NCLB法(No Child Left Behind Act of 2001)の導入により、アメリカの公立学校において英語以外の言語による教育が事実上難しくなり、バイリンガル教育への視線も厳しくなる状況の中にあって、移民を多く抱えるカリフォルニア州において中国語を含むバイリンガル教育を実施している教育機関・施設(=ロサンゼルスの公立小学校とサンフランシスコの就学前教育施設)に注目して、その生き残り策を探ることを目的として検討を加えてたものである。