- 著者
-
渡部 浩二
- 出版者
- 九州大学基幹教育院
- 雑誌
- 鷹・鷹場・環境研究 = The journal of hawks, hawking grounds, and environment studies (ISSN:24328502)
- 巻号頁・発行日
- vol.4, pp.71-82, 2020-03
17世紀後期の越後国村上藩主松平直矩(1642~95) の日記(『松平大和守日記』)から直矩の鷹・鷹狩について素描した。直矩所有の鷹は20居前後にもおよび、購入したものや贈答されたものもあったが、村上産のハイタカが中心で、頷内で捕獲する体制が確立していた。直矩は自ら頻繁に鷹狩を行うとともに、鷹を鷹師(鷹匠)に預け、領内各所で頻繁に鷹狩・訓練させ、捕獲した獲物を詳細に注進させていた。江戸藩邸で飼育していた鷹は、縁類の大名が将軍から下賜された鷹場や幕府鷹匠の預り鷹場に鷹師とともに遣わし、鷹狩・訓練させていた。また、直矩は鷹以外にも馬・犬・小鳥などの動物の贈答・購入を頻繁に行っていたことを示し、当時の武家の動物に対する関心の一端を指摘した。また、村上および江戸藩邸でも多様な動物を捕獲していたことなどを示し、当時の動物生息環境の一端を紹介した。