著者
石田 淳
出版者
新潟国際情報大学国際学部
雑誌
新潟国際情報大学国際学部紀要 = NUIS journal of intenational studies (ISSN:21895864)
巻号頁・発行日
no.5, pp.101-107, 2020-04

国際政治学分野に教科書は数多あれどもリーディングスは滅多に見かけない。なぜなら、そもそも論争らしき論争がないからである。そしてこの論争の不在は、専門領域ごとの研究者の棲み分けに由来する。この状況は研究の持続的発展を触発するものではない。とは言え、論争がなかった訳ではない。ただし、その意味が正確に理解されなければ、学知の蓄積はない。その論争とは、冷戦期日本の防衛姿勢の「意図せざる結果」をめぐる議論である。高坂正堯の「現実主義者の平和論」は、坂本義和の「中立日本の防衛構想」を、西太平洋におけるアメリカを基軸としたハブ・アンド・スポークスの同盟構造に起因する《同盟のディレンマ》を直視するものではないため、所期の安全保障効果をもたないと評価した。しかし坂本は、同時代のシェリングのコミットメント論を意識しつつ、《安全保障のディレンマ》を直視しない防衛構想は、所期の安全保障効果をもたないと論じていたのである。

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読む。CiNii 論文 -  《意図せざる結果》をめぐる《適確に評価されざる論争》 : 冷戦期における日本の防衛構想 https://t.co/EHTCgY1YyA #CiNii

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