著者
菊地 伸二
出版者
名古屋柳城短期大学
雑誌
研究紀要 (ISSN:13427997)
巻号頁・発行日
no.41, pp.41-55, 2019-12-20

トマス・アクィナス(以下、アクィナスとする)は、古代ギリシアに遡源し、教父や中世の神学者にも大きな影響を与えることになる「枢要徳」についてどのように理解しているのだろうか。本論では、『神学大全』第II-I部における叙述を中心に考察をしていく。 徳とはそもそもいかなるものか、徳はどこに成立するのか、徳にはどのような分類が可能であるか、ということが検討された後に、知慮、節制、剛毅、正義という「枢要徳」についての考察がなされるとともに、信仰、希望、愛といういわゆる「対神徳」とも区別される。 アクィナスの枢要徳については、アリストテレス的な枠組の中で思索が進められているが、一方で、アウグスティヌスからの影響も小さくなく、とくに、徳を愛との関係で捉えることについては、修正が加えられながらも、アクィナスに大きな影響を及ぼしている。

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